コメダ珈琲と名古屋喫茶店文化

ブレンド+モーニングセット

id:kokada_jnetさんのところで知った、コメダ珈琲関東進出一号店(横浜江田店)に、モーニングを食べるために出かける。自家用車で約30分。
そんな酔狂をするのにも、一応、理由がありまして。
実家が愛知県で、親戚のほとんどは名古屋。で、名古屋と言えば喫茶店。その名古屋の最大の喫茶店チェーンがコメダ珈琲なのです。これはもう、行かねばなりません。帰省時の格好のネタです。親戚はもちろん、実家の両親、弟達もたまに利用しているようですし。
モーニングサービス自体は、7:00から11:00まで。どのドリンクでもトースト半切れとゆで卵がついてくる。ちなみに写真のブレンドは380円。モーニングサービスタイム外だとお約束のピーナッツがつきます。一通りの雑誌と新聞が置いてあること、メニュー構成、外装、内装含めて地元と全く変わらない内容でした。
また、オープンしてから1年以上経ってはいるものの、客足は絶えず、繁盛している様子で、モーニングサービスタイムなのにも関わらず、順番待ちの名前を書かねばならぬところまで同じで一安心。これも郷土愛なのか。
個人的には天井が高くて開放的なこととと、BGMがなく客同士の話し声が何を言っているのかは分からない程度で適度にざわざわしている雰囲気が好きです。これも、地元と変わりません。
ただし、客層は30代ぐらい夫婦と小さな子供が1人、2人のファミリーが圧倒的。地元だと、若者からファミリー、更にお年寄りまで幅広く、そのあたりが、名古屋圏と横浜(新興住宅地)の違いなのかなと。 
例えば。
私が実家に帰って両親と、地元のコメダ珈琲なり他の喫茶店に入った場合、だいたい父か母、どちらかの知り合いがいて
「よー、大将!*1おはようさん。今日はにぎやかじゃないか」
「今、ちょっと横浜から娘が帰ってきてるんですわ」
と、なる。ちょっとした社交場です。もちろん、軽く挨拶した後は、また別行動になりますが。
その点、江田店は名古屋風喫茶店と言うより、ファミリーレストランの感覚なんだろか。当たり前と言えば、当たり前ですが。*2

上手く言えないのですが、名古屋喫茶店文化圏の人々は、単にコーヒーを飲みに行くのではなく、コーヒーを飲みつつ“まったり”したいんではないかと。
この、“まったり”というプラスアルファには、自宅の居間か応接間の延長線上くらいの気楽な感覚で、軽く食事をする、ヒマだから誰かいないかな〜と立ち寄る、時間を気にせずだらだらとおしゃべりを楽しむ、ただボーっとする、会社をサボる、新聞、マンガ、雑誌を読む等々、色んな意味がこめられています。
 また夫(岡山県出身)によると、帰省時に両親がサービスのつもりであちこちの喫茶店に連れ回した際、彼の目を引いたのは
「こっちの人は男も喫茶店に沢山いて、しかも内容は分からないけど、熱心によくしゃべってる」
ことだったようです。
さすがにチェーン店コメダでは見たことはないけれど、地元密着型の個人経営喫茶店では、冬ならばラクダのモモヒキ姿に半纏を引っ掛けたおじいさん達が地元紙を広げながら、次の選挙談義などをしてたり。そんな、自宅のコタツからそのまま出てきたみたいな格好でくつろぐ姿に遭遇することも。

なお、総務庁2002年家計調査によると都市別1世帯当たり年間喫茶代ベスト3は

  1. 岐阜市   15,525円
  2. 名古屋市  13,707円
  3. 神戸市    8,703円 (全国平均 5,164円)

です。一位が岐阜なのは意外ですが、基本的に同じ文化圏であることと、名古屋は今回初めて長年に渡る一位の座を明け渡したらしいです。
 また、名古屋式喫茶店サービス戦争?は、主戦場が名古屋市内から、郊外、更に岐阜、三河地方に移っているという見方もあります。次回家計調査では、1位を奪回できるのでしょうか。(しなくてもいいけど。)


【オススメ】名古屋喫茶店物語:http://homepage2.nifty.com/kissaten/
ステキかつヘンテコな名古屋喫茶店のディープな世界を伝道されています。
そして、コメダ珈琲には公式サイトがありません。これも実質第一の名古屋式経営なのかなぁと邪推。

*1:このあたりでは自営業者は皆、なぜか大将と呼ばれる。

*2:別の見方をすれば、この数年間、新規出店舗には、ほぼ必ず広い駐車場を用意したコメダ珈琲チェーンの方が、喫茶店ファミリーレストラン的要素を取り入れたとも言える。