花の影

 花の影 [DVD]
 フランスの女主人にはかなりの権限があるのですが、中国の女主人には、全くなかったらしいという映画。1920年代の蘇洲の話ですが。
 父や兄が次々と亡くなったり、阿片で廃人になったおかげでヒロイン、コン・リーは旧家の女主人になるのですが、小姑ならぬ、大番頭とでもいうか、代々家に仕えている使用人(男)たちが家を実質、仕切っている有様。お嬢様が言うことを聞かない毎に
「あぁ〜、この家には男がいなくなった〜!この世の終わりだ〜!嘆かわしや〜!」
と大騒ぎ。で、遠縁から迎えた養子とはいえ彼女の弟を
「お前がちゃんとしないからだ!」
と別室で代わりに激しく打ちのめす。今風に言えば虐待。この中国の主人と使用人の関係が不思議でした。
 最終的にヒロインも廃人になってしまい、弟が当主となるや否や、男子であるということで大番頭たちは、途端に大満足。あれだけボコボコに痛めつけていても、仕返しをされないと思っているのかいないのか。強力な大旦那様がいないと、あっけなく主客逆転というか、ねじれてしまうところが、清朝末期の中国の退廃の一つの表れなのでしょう。これもまた、一種の官僚主義。ラスト・エンペラーの存在自体もそうだったなぁ。
 それにしても、トニー・レオン役のだめんずぶり!彼が不幸な青年なのはよーく分かるのですが、それにしたって最終的に思いがとげられなかったからと言って、ヒロインに毒を持っちゃダメです。しかも、泣いて後悔してるようじゃ、ますますダメ。身勝手過ぎ。それまで散々、ヒロインをだましたり、振り回してるんだからさ。
 そういった設定いただけないのですが、やっぱりトニー・レオンという役者自体は、クラクラきます。カメラワークがふらふらしているせいだけではないと思う。
 けれど。
 さすが生き馬の目を抜く香港スターだなと彼を思ったのは、特典映像のインタビュー。
「会うたびにふくよかになってるよね、彼女。一流でありつづけるには、トレーニングをして体を維持しないと」(大体、こんなセリフ)
 女優に瘠せろと、直球発言!確かに、ズボンをはいて自転車に乗るシーンのコン・リーお尻は、ちょっと…。