ショーペンハウエルの『読書について 他二篇』

ISBN:4003363221
 久々に何度も吹き出しながら読んだ本。ギャグマンガの中で紹介されていた(id:a2004:20040603)ところから入っていったので多分、私の感想は間違っていると思う。でも、偏屈ジジイが毒舌度200%で浮世を嘆いてブチキレまくりの姿を何度も妄想してしまって、オカシイのなんの。
 主張しているのは、ものすごく乱暴に整理すると
「とにかく、人の頭(本)を借りるのではなく、自分の頭でしつこく考えろ」
「本は古典(と私の著作*1)なら読む価値があるが、それ以外は時間の浪費だからやめとけ」
というようなこと。
 それを説明する言い方が毒舌度200%なのだが、150年以上も前に書かれたものとは思えないほど、今にもぴったり当てはまる内容なのが驚き。新刊本が次々出ては消え、新しい物を良いとする読者、いい加減な評論家に、更に無数の匿名の批評家の存在。言葉の乱れ。インターネットがない時代なのに、そのままインターネットの世界にも当てはまる例え話の数々。ええもう、こんなところで『ミチクサ日記』などと称してトグロを巻いてる私なんて、ショーペン先生の研ぎ澄まされた言葉の剣で胸をグサグサ貫かれることばかりですよ。あ、でもこれは評論じゃなくて、ただの感想文だからいいのか。
 本編は100p程度の薄い本で、まさに省スペース。でも中身はかなり濃い。これからも時々、目を覚ましたいなと思ったときに読み返そうかなと思う。古本屋で80円で買ったことはショーペン先生には内緒で。

*1:こういうところがお茶目さんというか。