浜名湖花博②

 何がよかったかと言うと、そうそう、会場内のあちこちにユリの花が沢山あったことでしょう。あんなにまとまった数や、さまざまな種類のユリが咲いているのは中々お目にかかれません。それであちこちからぷーんとユリの甘いが漂ってきます。
●園芸文化館
 園芸文化館:http://www.engeibunkakan.jp
 大まかに言うと江戸時代からの伝統園芸植物にまつわる資料・歴史解説と盆栽関連の展示がなされています。日本の特異な園芸文化が盛んになるのは、徳川家康・秀忠・家光三代続けての園芸好きから大名がこぞって江戸屋敷の庭を飾り立て、更には珍種の開発(御留品など)にあたったことに始まるというあたり、浜松ならではの徳川万歳ぶりがやや強調され気味ですが、そのくらいのお国自慢は許すことにして。*1
 さまざまな江戸期にもてはやされた植物の絵が展示されていますが、中でもタンポポも投機の対象となるほどの人気で、さまざまな品種が改良されたのにもかかわらず、改良品は昭和10年代(戦争の影響)に絶えてしまって、既に幻の花になってしまっているという話は、初めて知りました。それでなくても今、野に咲くタンポポも外来の西洋タンポポに駆逐されつつあるというのに。
 万年青(おもと)も、斑入りの珍種に現在換算で1億円の値がついたこともあるとかで、似たタイプの鉢が展示されていましたが、そういう小さくても珍しい、細工の細かい?ものに価値を見出すのは今のフィギュア文化につながるのかなと思ったり。
 一億の価値があるかどうかまでは分からないのですが、メンデルの法則なんて知らなくても、独自の経験の積み重ねだけで見事にさまざまな品種を作り上げる、先人たちの技術の高さというか熱意には頭が下がります。変化朝顔の一部は映像で見ることができましたが、本当に「これが朝顔?」と思うくらい、花が変形しております。
 また盆栽がこんなに美しい、いやカッコいいものだとは。盆栽というと、妙に枝を曲げたりいじくりまわして、短く切り詰めたイビツな園芸、もしくは自然のままがいいのに無理やり型にはめたがる陰湿な老人の趣味(←コレこそが大いなる偏見?)というイメージでしたが、しかるべきしつらえが施された場所(空間)に、ちゃんとしたセンスのある人が作り上げたモノが収まると、なんとまぁ立派でカッコいいんでしょうと。盆栽にも床飾りという飾るための様式(盆栽素材と掛け軸の絵のテーマとのバランス等)があることを知ったのも初めてでした。
 そして、宮内庁所有の盆栽の数々も、盆栽素人目にもさすがだなと思わせるものばかりでしたが、推定樹齢千年の木の盆栽は…木とはいえある種、神様ですね。幹の中身は焼けてしまったらしく空洞なのですが、根っこと樹皮だけで緑の葉を茂らせて生きてます。
 残念なことに、この館内は撮影は一切禁止なので画像は一つもありません。そして花博公式サイトは韓国語、中国語バージョンもあるのに、このいかにも外人受けしそうな日本文化を紹介するパビリオンには一切の外国語表記がない!と、思って改めて周囲を見渡すと…、大勢の人が集まっているのに関わらず外国人が限りなくゼロに近い(ゼロではなかったが)ばかりか、中高年比率は9割以上と、更に高まっているということに気がついて愕然。お年寄りだけに独占させておくにはもったいない中身ですよ。
●花博オリジナル チューリップアイス

 画像はバニラとのミックス。ピンクがチューリップアイスらしいのだがバニラとの味の違いが分からず。チューリップ味は謎のままだった。¥300也。
●オーストラリア料理屋の前のオブジェ

 各国料理店が沢山あり、その中の一コマ。やはりコアラかカンガルーなのか。
●遠鉄浜松駅近くのうなぎ屋「あつみ」にて

 白焼丼なるものを生まれて初めて食す。蒲焼のタレのかかったご飯の上に、小さめに切った白焼きがのっています。白焼きはねぎ、しょうが、わさび、しその芽等の薬味を合わせたしょう油につけていただきます。決して薬味を混ぜ合わせたしょう油を上からかけたのでは美味しくないからいけません!とお店の人に念を押されました。うな丼よりもさっぱりした味で、ホントに夏バテの時にはこっちの方がおなかに優しそう。薬味と白焼きも意外にマッチ。肝吸い、お新香、メロンがついて¥2,500也。
 夜の部は17時から19時半までの営業となっていますが、18時過ぎにお店に入った私達の一つ後のお客でその日の受付は終了!*2

*1:例えば京都の貧乏公卿たちも、糊口をすすぐため品種改良してたはずだし。

*2:実際にうなぎにありつけるのは受付から約1時間後。お客がいっぱいなのです。