開館一周年記念 ルオーとイコン〜描かれた聖像〜/松下電工NAiSミュージアム
タイトル通り、松下電工の所蔵品中心のルオー半分、玉川学園所蔵の中世ロシアが中心のイコン半分という展示。万人向けではないかもしれません。しかし、私もそうですがルオー大好きな人にはオススメです。個人的には、モノトーンの版画集「ミセレーレ」をまとめて見られたのがよかった。版画とはいえ、サイズは普通の絵画程度の大きさ。太く勢いのある輪郭線やタッチはカラーで描く彼の油絵と変わらないのですが、目の覚めるような白と闇夜のような黒のコントラストは、カラーとはまた違った強烈な印象でした。
また、イコンも小ぶりながら保存状態がよいものが多いので、金箔のキラキラとした輝きを見ながら、中世の地味な生活を考えると、当時の人はうっとりと羨望の眼差しでこれを眺めていたのだろうな、としばし想像してみたり。でも、そーいえば新興宗教の本部も、金ピカだね〜と中世と現代の共通項を感慨深く感じたり。つい、昔のものは渋くて落ち着いた色合いだと思いがちなのだが、アテネのパルテノン神殿も、以前見たCGで当時を再現した映像は極彩色の金ピカ。白肌のシンプルな美しさを意図して作ったわけではないのだった。
基本的にここは大企業のオフィスビル内にあるので、平日昼間はグレーのビジネススーツをビシッと決めたリーマンオジサマばかり。ジーンズおばさんは辿りつくまでの間、浮いてしまうのがちょっと難点と言えば難点。
松下電工NAiSミュージアム:http://shiodome.nais.jp/museum 6/13(日)まで
NAiSミュージアムは、新橋駅または汐留駅近くの松下電工ビルの4Fにあります。