「電車男」に見るマーケティングの落とし穴(?)

 今話題の「電車男」を完読しました。
 電車男http://www.geocities.co.jp/Milkyway-Aquarius/7075/trainman.html
 よく出来たお話です。ネタ説も一部あるようですが、そんなことはどうでもいいです。ヘタな恋愛小説よりもはるかに面白い。(ただ、妙に早とちりというか、恋人になっただけなのに、一生守っていくんだぞーみたいな結婚までイメージした盛り上がりはどうかと思うが。やっぱり女慣れしてない香具師の集まりなのか。)
 で、内容とは無関係になるほどねーと思ったのは、秋葉系の電車男くん(と板の住人たちの多く)は、これまでオシャレをしたこともないので「アウターって何?」「カットソー」「セット力 」「ブロー」「 スタイリング 」「毛束 」などの基本中の基本と言うべきオサレ用語をあまり知らなかったということだった。がんばってオシャレをしようと試みても、ファッション雑誌を解読するのに翻訳がいるという状態。 また、女の子とどう会話の流れを組み立てていったらいいか、皆で知恵を出し合ってシュミレーション(またの名を妄想)していたり。
 これはよくよく考えてみたら当たり前のことなのだけれど、ちょっと意外でもあった。男の子雑誌「ホットドッグプレス」「ポパイ」は、以前は女の子を意識したファションや恋愛マニュアル*1情報満載の雑誌だったが、この数年のうち相次いで「こだわりのストリート系ファッション&サブカル情報中心雑誌」に方向を変えてしまった。かつてはこの世代の雑誌販売部数一位の座は不動で「ホットドッグプレス」だったが2年くらい前に新興のストリート系ファッション雑誌「Smart」にとって代わられたからだ。女の子と付き合うことや人からどう思われるかということよりも、人とは違うレアもので個性を主張、自分を飾るの大好き、俺様がいいと思えばそれでヨシ!的男の子が増えている*2から、こういう雑誌が売れるんだなぁと思ってみていたのだが……。
 でも一連の「電車男」くんたちのやり取りから「明日からいきなりファッションリーダーになるのが目的じゃなく、女の子からバカにされない程度のオサレがしたい」「女の子と上手く付き合うにはどうしたらいいか?」というニーズは、消えてなくなったわけではなさそうだ。「ホットドッグプレス」「ポパイ」の販売部数が減って方向転換をせざるおえなくなった原因は、時代の流れによるターゲットの変化を読み間違えてたからかもしれない。サークル活動に忙しい普通の大学生じゃなくて、ひそかにキバカジュアルからの脱却、ヲタ卒業を狙っている男の子…かも?無理にオシャレしなくてもいいんだけど、変わりたいと思う純な男心は密かに共感&応援したくなります。
【参照】「電車男」に住人達が薦めたこんなサイトも泣かせます。最低限のお約束。
 1からはじめるファッション入門マニュアル:http://www.at-fashion.com/

*1:ただし、そんなんで喜ぶ女いるのか?という間違ったマニュアルも多かったが。

*2:実際、こういう20代意識調査結果もあります。