アギーレ・神の怒り
ドイツ映画なんだけれども、エルドラドを求めてアマゾンの奥地までやってきたピサロ率いるスペイン調査隊の話。アギーレは、その斥候隊の副官。
いかだで川を下っていくシーンが半分以上をしめるのですが、誰もが『地獄の黙示録』を連想すると思います*1。自分の王国建設に失敗してしまったカーツ軍曹がアギーレと考えると分かりやすいかと。
「祖国スペインのため、神の言葉(キリスト教)を未開の地に広めるために、エルドラドを発見する」→「スペイン王家の血を引く新王を擁立して、エルドラドに自分たちの新しい国家を築く」→「自らが神話の世界と同様の神となって、エルドラドの王として君臨する」どんどんエスカレートする信念というか、妄想にとりつかれてしまった男の狂気というのは、分かります。そもそも、この男の頭の中には「エルドラドは存在しないかもしれない」という発想はないのですから。
「私は神の怒りだ!」というようなアギーレのセリフが何度かあります。原題も『神の怒り』です。けれども、私はこの人はなぜ怒っているのか、何に怒っているのかが、よく分からないのでした。
他の斥候隊メンバーは、アギーレの方針には力づくで従わさせられているに過ぎないのですが、それでも「エルドラドに着いたら女奴隷つきの部屋とかもらえるかなぁ」などと、楽しそうなところもあります。 けれども当の本人はずーっと怖い野人顔のままで、一向に楽しそうに見えません。野心を満足させるためというより、強い使命感で突き進んでいるようです。
やはり、キリスト教世界観が分かっていないと理解できないのかなと思う次第なのです。