汚れた血 ASIN:B00005H3HH

 なんというか、若さでしょうか。いい意味でも悪い意味でも。格好よくも、格好悪くも。主人公のアレックスが走り回ったり、踊ったり、空飛んだり、手品したり、腹話術したりとまぁ、いろんなことをするのだが、恥ずかしくて見てられないような、うらやましいような。デビッド・ボウイの「モダン・ラブ」で延々と踊るなんて、カッコいいのかカッコ悪いのか微妙すぎる。懐かしさと恥ずかしさと。
 若い男の子で、ちょっと真面目に愛とは?と突き詰めちゃうと、目の前にいる女の子が本当に好きなのか、いつまで好きでいられるのか分からなくなっちゃうのか。運命の女と思っても、ふとした瞬間「あ、やっぱり違う」と思ったり。そういうのを生真面目に正していくと、その果てはやっぱり…破滅しかないのかな。
 そう考えると年を取っても生き続けていられる、ということは自分をだまし続けてこられたからであって、「汚れる」のは当然で、だから「アメリカ女」はしわだらけで醜いのか。
 出てくる男は皆、どっか繊細というかオヤジも含めて少年っぽいところがある。女の方はジュリエット・ビノシュジュリー・デルピーなので一見、はかなげだったり、弱々しそうに見えるけれど、案外、しっかりしてる。アレックスは死ぬしかないけど、2人は彼がいなくてもしっかり生きていけるだろう。「アメリカ女」も、たたずまいは凛としてたし、どんな悪いことをしてきたか知らないが、嫌いではない。
 話はつじつまが合わないところが多いけど、とにかく若さという勢いで最後まで観させる映画。