えびボクサー

a20042004-04-10

 えびボクサー [DVD]
 不覚にも、ちょっぴり泣いてしまいました。所詮、トンデモ映画かせいぜいお笑い映画だろうと油断し切っていたところに、ミゾオチに不意打ちを喰らってノックダウン。意外にまともな話でした。夢を抱いてがんばるって素晴らしいとか、挫折と再生など「フル・モンティ」「リトル・ダンサー」の流れをしっかり汲んだイギリス映画です。かなりの変形版ですが。
 全長2m10cmのえび(イマドキCGじゃなくて完全特撮!)をボクサーに仕立て、TV中継で一発当てようとするダメダメ中年男の心が、段々と変化していく様子がとてもいい感じです。えびボクサーのパンチの破壊力も凄まじい。そして、最初で最後のえびボクサーが「立ち上がる」シーンは、観終わって数時間経った今でも思い出すと…笑いが止まりません。衝撃的な可笑しさ。その直後に涙の感動シーンがやってきます。
 この映画、動物愛護の観点からイギリスでは上映されなかったらしい。うーむ。私はむしろえびへの大きな愛を感じるんだけどなぁ。
 ところでマンティス・シュリンプと原語で呼ばれているこの生き物は本当はえびじゃなくて、シャコ。(映画を見れば誰でも分かるって!)宣伝用ポスター等に使用されているのは、本編の「えびボクサー」とは全く違うシロモノ。最初、巨大えびというかシャコのあまりのヘンテコさに、何度も大笑いしました。けれども物語が進むにつれ、ダメダメ中年男同様にこの「シャコえび」が愛らしいものに見えてくるから不思議です。
 画像は、去年パリに行った際、魚屋のお兄さん(イケメン)が何故だか「これも撮ってくれよ!」いそいそと奥から持ってきた手長えび。お兄さんが「無理やりはさみを捻り上げて」その場で作った作品です。つまり、えびははさみ関節の構造上、左右にブラブラと動かすことは出来ても、上に振り上げたり、ましてや前に向かってパンチは繰り出せず、よって映画はシャコじゃなければ成り立たないのであります。