パリ市立プティ・パレ美術館所蔵 パリ1900 ベルエポックの輝き/東京都庭園美術館

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 ベルエポックと呼ばれる時代は、女優サラ・ベルナールが活躍した時期と重なるそうで、彼女の肖像画(右の画像がその一部)が展示の最大の目玉のようだった。生の肖像画は、瞳がもっと透明感のあるブルーで、ソフィー・マルソーにかなり似ている。
 ミュシャのポスターを通してサラは何度も見たことがあるが、一度たりともこんな可憐な顔立ちで描かれていたことがあったかなぁと記憶をたどってみる。どちらかというと、貫禄たっぷりのゴージャス系の人だったような気がする。
 残念ながら今回の展示にミュシャの作品は一つもなかったので直接比べることはできないが、晩年の彼女の写真はあった。「自宅でのサラ・ベルナール」というタイトルで、この肖像画のようなよそ行きのくつろぎ感ではなく、本当の彼女の生活の場であるらしいリビングのソファにアンニュイに横たわっている姿が写っているのだが、私の目にはどうしても美輪明宏がダブってしまうのだった。表情はもちろんのこと、豹柄の敷物とか、観葉植物の生い茂り感もテレビで見た自宅インタビューの時の彼(彼女?)のリビングを彷彿とさせる。美輪明宏の目指している地点はここだったのか。
 けれども、ソフィー・マルソー美輪明宏はどうやっても結びつかない。こうなっては、ソフィー・マルソーが今の美輪明宏の年齢に達したとき、彼(彼女?)のようになっているかどうか。それで確認するほかはない。*1私は、絶対にこの肖像画はサラを3割増しくらい可愛らしく描いていると思っている。ご本人も大のお気に入りで死ぬまで手放さなかったというし。ソフィーよ、長生きしておくれ。私も見届けられるよう、がんばるから。これでまた一つ、年を取っても楽しめることが増えた、増えた。ウヒ。
 その他に、新たな発見があったのはセザンヌだ。まだ田舎の法学部の学生だったころ、お父さんが新しく購入した家のために描いたという春・夏・秋・冬の四季4部作。それぞれの季節をイメージした花や果物と女性がモチーフになっているが、いわゆるセザンヌの絵とは全く違う。牧歌的というか、明るくのびのびしてるというか、乙女チックというか、イモくさいというか。はっきり言って女性の顔の造形は、素人目にもどうかと思うような出来ばえ。でも、縦は3m以上はゆうにある縦長の大作で、これを見てお父さんは絵描きの道に進むことを許したというのだから、偉大な画家のスタート地点を見たと思えば、これまた感慨深いものがあるのかな…?とか。それにしても厳格な銀行家というお父さんは、この絵のどこを見てGOサインを出してみたのか。とにかくデカイのを作り上げた根性?「アングル」*2とわざわざサインを入れてみた心臓の強さ?
詳しくはここに。http://www.teien-art-museum.ne.jp/exhibition/paris/index.html
4月11日(日)まで。

*1:じゃ、若いころの美輪明宏はどうなのよというと、映画「黒蜥蜴」「黒薔薇の館」で見た感じからすると、やっぱり貫禄のゴージャス系。

*2:もちろん、あの有名な画家の名前です。