猟奇的な彼女 

 韓国は不思議な国だ。銀行強盗をしでかした女の顔を公開するとあまりの美人さにファンサイトまで出来て大騒ぎとか、アジア大会では北の国からの「美女軍団」をお嫁さんにしたいと追い掛け回す輩もでた。古くは「大韓航空機爆破事件」の金賢姫が美人だということで「僕が更正させてあげる」と「お婿さん候補」に沢山名乗りがあがった。
 かの国では、わが国以上に「女性の顔がキレイであること」に相当な価値があるらしい。小学生の娘に、親が将来を考えて美容整形させるのも珍しいことではないとニュースでも見た。
 何が言いたいのかと言うと、この映画はかわい子ちゃんに絶大な価値を置く韓国が舞台だから成立するのであって、ブスなら勿論、10人並みの器量でも主人公は、確実に酔ったヒロインを駅のベンチに置き去りにするだろうということだ。いや、その前に「オレは無関係」と、地下鉄を途中下車する。昨今のひ弱そうな日本男児なら目も合わさずにパス。(違うか?)
 最初、このヒロインは異常に正義感が強いのと自分に正直ゆえ、世の中から浮いちゃう女の子なのかなと思っていたら、単なる自己チューだった。他人に説教するぐらいなら、お前のやってることは何だ!と言いたい。というわけで「前半戦」終了前に、既に話自体にオバサンはついてゆけず。
 「後半戦」で、ハチャメチャコメディから一気にメロドラマに移行するものの、好きだった男が死んだ悲しみから立ち直れなかった故と知ったところで、死んだ直後ではなくて一年も経っていたのにこの奇行ぶり、というのにあきれるだけ。はっきり言わせて貰おう。あのような振る舞いは「かわいい私は何をしても許される」という、明確な自覚がなければできないレベルですよー。男子の皆さん!
 全体的に「ここは笑うところ!」「ここで泣け!」「さぁさぁ感動せよ!」と画面からいちいち指令が飛んでくるような感じの演出にもオバサンは疲れてしまいました。
 やっと映画が終わり「ヤレヤレ」と思っていたら、横で夫が「いや〜、この女の子かわいいね〜」と言いつつまた最初から見はじめた。オイオイ、お前もかよ〜。