「引きこもり」から「社会へ」 それぞれのニュースタート 

「引きこもり」から「社会」へ―それぞれのニュースタート
 これは、今の世の中にとって必要な本であると思う。けれども、間違いなく売れない本である。残念ながら本に限らず、良いものが売れるとは限らないのが現実だ。
 この本が多分、売れないだろうと手前勝手に予測するのは、世の中の人のほとんどが「引きこもり」なんて、自分とは縁のない世界と考えているからだ。しかし、この本をちゃんと読めば「引きこもり」が特別なことでないことが分かってくる。例えば、彼らが引きこもることになったきっかけは人それぞれではあるが、まじめに生きようとしている普通の人なら誰にでも心当たりがあるような出来事ばかりだ。

 だから本当は「引きこもり」の人とそのご家族だけに留まらず、そうでない普通の人にも読む価値が充分にある本なのだ。読めば必ず、これは彼ら個人の問題だけではなく、社会全体の問題なんだということが肌で感じられることと思う。皆、買ってくれ。良いものはやはり、売れてくれなきゃ困る。
 実は著者の荒川龍氏(id:rosa41)は私の古い友人の一人で、彼の人となりはそれなりによく知っているつもりだ。とにかく真面目で誠実な人柄なんである。彼の処女作が、ちゃんと成功しますように。
 
 それにしても…引きこもりの息子を抱えるお母さんは、他のご家庭と比べて特別にそうだとは思わないのだが、息子にかかりっきりだったことが良くなかったと反省されていたが、一方で子育て放棄とも取れるやり方で中学生が虐待死する。おかしな世の中だ。虐待死させた母親たちが、自分と同世代だというのも信じられない。