ヨハネス・イッテン―造形芸術への道 / 国立近代美術館
美術教育なんて、中学校でしか受けていない私でも、イッテン先生の授業に参加してみたいなぁ。かつての生徒たちのこしらえた展示品を見てそう思った。ひまわりの種とか、鳥の羽毛、植物の茎、麻布などなど、身近な素材が沢山使われているからかもしれない。NHKのおしゃれ工房のノリである。
何でもない草を食べている牛の写真の一部を切り取って、上下左右に反転させてドンドンつなげていけば、あーら不思議。見たこともないデザインの出来上がり。名画の色使いを、量と質と補色関係を配置順に一本の帯状にまとめると、ハイセンスなストライプ模様の生地見本のよう。そんな展示物からは、新しいモノの見方を教えてもらえた。
いきなり「デザインを考えろ」「絵を描け」と言われても,凡人にはできない。理論の暗記から始めなきゃダメだと思うと、やる気にならない。でも、こんな風に理論に基づいた実践(しかも、楽しそうな)を積み重ねていくような講座だったら、できそうに思える。とにかく私のような美術の門外漢にも、やってみようかな、楽しそうだなという気にさせるのがすごくいいなと思った。
実際、インターナショナルスクールの子供たちが先生に連れられて来ていた。それを避けるため、先に工芸館の方へ行ってしまったのだが、先生の教えを聞きながら一緒に回った方が、さらにこの展示会を楽しめたかもしれないと少し後悔。
工芸館の企画展の展示に「桜梅の少将」という萌黄色の雅な衣装をまとった人形があったが、映画「源氏物語」の天海祐希にどことなく似ていた。映画をテレビで見たときは彼女が女であることを知っている(当たり前か)こともあって、宝塚の舞台ならともかく実写はどうも…と思ったものだが、平安貴族の理想の美青年のイメージとはそもそもああいう感じなんだなぁと納得。